白鳥鈴奈詩集

オリジナルの詩とショートストーリー・・・生きる喜び。愛の言葉。時の流れるままに

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2012-12-10 (Mon)  23:28

「宇宙とお腹」

「宇宙とお腹」

少年が自分の部屋のベッドで寝っ転がっていました。

少年の兄がいきなり部屋に入ってきました。

「つまらなそうな顔をしてるじゃない?」

「べつに・・・」

「父さんの声、大きいからね。聞こえてたよ。
全く、父さん、何言ってるんだかね。いつものことじゃないか」

「うん。そうなんだけど。先生の言うこと、間違ってるみたいなこというからさ。なんだかなあって感じでさあ。」

「そっかあ。宇宙がビッグバンで爆発したって話だけど。」

兄は一息おいて続けました。

「それもたしかに1つの説かもしれないよ。でも、いろんな話があるんだよ。」

「どんな・・・?」

少年は目を輝かし身を乗り出してきました。

「それは宇宙はお腹ってことさ」

「えっ?それ、どういうこと?」

「だから、宇宙は誰かのお腹の中にいるんだよ」

少年はまたか・・・といったようにがっかりした顔をしました。

兄はおかまいなしに続けます。

「お前は小学生だからな。高校の俺の話にはついてこれないかもしれないな。
でも、まあ、最初からわかりやすく説明してやるな」

「そんなことないよ。教えてよ」

「人間の体の中には細菌ってやつが100兆とかいるらしいんだ。悪い菌が体の中に
入ってくると、そいつが戦ってやっつけてくれるんだぜ。」

「そんなにいるの?気持ち悪いなあ。」

「まあ、聞けよ!つまり俺がいいたいのは・・・」

秘密を話すように顔を近づけ、声をひそめて言いました。

「俺たちから見たら細菌は顕微鏡でしか見えないほど小さいんだ。
もちろん細菌は俺たちの体の中にいることなんて知らないさ。」

「だから?」

少年は怪訝そうな顔をして言いました。

「つまり、俺たちはわからないだけで、宇宙が誰かの体の中にいたりしてもいいわけだろう?」

少年は首を大きく左右に振りました。

「そんなことは絶対に無いよ!あり得ないよ!絶対に!」

「どうしてそう言い切れるんだ?」

兄は弟をにらみつけました。

「だから、小学生のお前には難しいって言ったんだ。まあ、いいさ。ここまで話したんだから話してやるよ。」

「イメージしてみろよ。お前のお腹の内側が宇宙だとして・・・。」

「お前が朝食にパンと目玉焼きをぱくっと食べたとするな。するとどうなる?」

「消化されて、体の中に入っていくよな。一部はお前の体の一部になって
一部は形を変えていくよな。」

真剣に聞いている弟をまんざらでもなさそうに見て続けました。

「それと同じなんだ。星が生まれて消えるのも。移動するのも」


「じゃあ、今度は息を大きくすってお腹を膨らませてごらん」

弟は大きく深呼吸しました。

セーターの下のお腹が少し膨らみました。

「今、何が起こった?お腹が膨らんだだろ?」

弟は自分のお腹をじっと見つめています。

「宇宙も同じさ。今、宇宙が膨らんでいるって言われている。
次は宇宙も縮小する時がくる。お前のお腹だってそうだろう?」

「今の宇宙はできたばかりなんだ。まだほんの一呼吸しかたっていない。
人間からしたら気の気の遠くなる時間がたっているけどな。
宇宙時間ではまだ子供ってわけさ。」

「じゃあ、ブラックホールって聞いたことがあるかい?」

「星が吸い込まれて消えてしまうって場所でしょう?なんか怖いよね。」

「無くなって消えてしまうんじゃないんだ。外の世界に形を変えて出ていくんだよ。」

「あっつ?今、変な想像をしただろう?汚くないんだよ。この場合は・・・」

「わかりやすく誰かのお腹って言っていたけど・・・
外の世界は、もう1つ大きな宇宙なんだ。
外の大きな宇宙につながってるんだ。つまり大きな宇宙のお腹の中に俺たちの宇宙はあるってわけさ」

「なんか、こんがらがってきたけど、なんかすごい話のような気がする。」

弟がそう言うと、兄は満足そうにしていました。

(あとで校正する)

最終更新日 : 2015-08-04

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