白鳥鈴奈詩集

オリジナルの詩とショートストーリー・・・生きる喜び。愛の言葉。時の流れるままに

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2012-12-09 (Sun)  00:30

「宇宙とチューインガム」

夕食が終わりテレビを見ていた少年が父に言いました。

「父さん、今日、学校で教わってきたんだ。宇宙は何もない所から爆発して始まったんだってね。
ビッグバンって言うんだって。」

学校に行ったこともない父は知ったかぶりをし、難しい事を言う息子に言いました。

「そうさ、誰かが火をつけてバーンと爆発させたんだ。」

「嘘だ!最初は何も無かったんだよ。だから誰もいなかったし、火なんかつけられないよ!」

「火もつけないのにどうして爆発するんだい?そんなの無理に決まってるだろう。」

「だって、先生が言ってたんだから・・・間違いないよ。
それとね、爆発した後、宇宙はどんどん大きく膨らんでいるんだって。今もだって。」

父は息子に張り合うように言いました。

「そうさ。膨らんでるんだ。チューインガムだな。」

「えっ?チューインガム?」
少年は怪訝な顔で父を見ました。

父はポケットに入っていたガムを取り出し、くちゃくちゃと噛みはじめました。

「つまり、宇宙がチューインガムで、誰かが息を入れて膨らませてるんだ。ほら、こんな風に。」

ガムをぷーっと大きく膨らませて見せました。


少年は顔を真っ赤にしムキになって言いました。

「そんなのでたらめだ!
宇宙はそんなに小さくないよ。それに宇宙を膨らませられる、そんな大きな人がいるわけがないよ!」

「へ?なんでお前は、宇宙より大きな人がいないと決めつけるんだ?」

「だって、宇宙人って、人間と同じ位の大きさだもん。」

「ああ、そうか。映画にでてくる宇宙人はそうだな。」

父親は満足そうに頷いて笑いながら言いました。

「そうだ!膨らませたのは宇宙人っていうより、神様かもしれないな」


「宇宙がそのガムのようだったとしても。誰かが膨らませたとしてもいいよ。
爆発してから星が生まれて先生が言ってたけど。そんなんで生まれるの?」

少年は疑うような挑戦的な目で父親にいどんできました。

息子に突っ込まれ、さすがに父も困ってきました。

「呼吸の中の炭素とか何かから星ができていったんじゃないか?」

父親のあまりのいい加減ぶりに少年はもうどうでもよくなってきました。

「もう、いいよ!」

そう言うと部屋を出ていってしまいました。

「先生、先生って言うから・・・。」

父は頭をひねりました。

「まてよ・・・チューインガムじゃなくて、風船かもしれないな。そうだ。
誰かが突然、風船に水素ガスをシューと入れて宇宙が大きくなっていったんだ。それだ!」

父は自分がすごい事に気がついたように嬉しそうにつぶやきました。

「水素はたしか最初の元素だったしな。化学反応していったんだよ」









最終更新日 : 2015-08-04

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